続・球根 ~その2~
「
容子さんからの報告に基づき線虫検査レポートの不明点について日本の植物防疫所に回答した清水さんは、先方から意外な返事をもらいました。
「植物防疫所では線虫検査をすることができない」
それまで、防疫所との間でやり取りをして、書類の要件を煮詰めてきたはずなのに……。清水さんは「これまでのやり取りはなんだったのか」と思います。
防疫所が言うには……
- 日本政府とバミューダ政府の間で、輸出入の際に植物検疫証明書を提出する取り決めはない。だから、植物検疫証明書は提出しない。
- 線虫分析レポートも、同じく政府間の取り決めはない。だから、防疫所で検査をして署名することはしない。
……とのこと。
困った清水さんは、容子さんに尋ねます。「取り決めがないのなら植物検疫証明書も線虫分析レポートも必要ない」という考え方で輸入可能になるかどうか問い合わせてほしい、と。
バミューダ当局の返事は「ノー」でした。バミューダ側にしてみれば、取り決めの有無が問題なのではなく、虫や病気のついた球根の入国を阻止することが主眼点なのです。容子さんは「小さな島国だからこそ、この種の手続きには敏感になるのかも」と思いました。
清水さん、どうすればよいかわからなくなってしまいました。そして通関業者に相談します。
すると……
「バミューダ政府から日本の当局に対して、線虫分析レポートと植物検疫証明書が必要であるという、正式な依頼の文書が提出されれば何とかなるのではないか」
……とのアドバイスでした。
さあ、ここにきて大事(おおごと)となってきました。幻の黄色い花への想いから始まった私たちの活動が、国家の政府レベルの手続きがからむ話になったのです。
もちろん、こんなことでひるむ容子さんではありません。専門機関にかけあい、その結果、バミューダ政府のレターヘッドに印字され、しかるべき責任者が署名した、正式な文書を取り付けたのです。
6月27日のイベントのトーク・ライブでは、このあたりの状況が明かされました。
イベントでは、バミューダのビデオも上映されましたよね。容子さん、ビデオの撮影も、納得いくまで数十テイクも撮るほどのがんばりだったのです。その裏でこんな大仕事をしているとは、私は少しも知りませんでした。気軽にいろいろ撮影を頼んでしまいましたが、どれほど大変だったでしょう。ひとつでも大変な仕事をふたつ同時にやってのけたとは、そのパワーに驚かされるばかりです。
でもご本人は「自分ができる範囲のことを、ゆる~いカンジで進めて行ってます」と、サラリとおっしゃるのです。
この件では、容子さんのご愛息オースティンくん(愛称オーちゃん)もひと仕事してくれました。容子さん曰く「バミューダ政府のオフィスにも、オースティンと一緒に登場すると、皆の顔が緩むので(笑)、結構助かって」いるのだそうです!
さて、容子さんから文書を受け取った清水さん、輸出入の流れをようやくつかむことができました。
- 線虫分析レポートをバミューダ政府に提出。
- 提出した線虫分析レポートをバミューダ政府が満足のいくものと判断すれば輸入許可書を発行。
- その輸入許可書を受けて日本政府(検疫所)は植物検疫証明書を発行。
この順序で手続きを踏めば、輸出が可能になりそうだということでした。
日本の植物防疫所は、この正式な文書を受けて「植物検疫証明書は発行可能」との返事を清水さんにしました。しかし、線虫分析に関する言い分は相変わらずでした。「防疫所ではできない」と言うのです。
「植物検疫証明書は発行可能」となっても、そもそも線虫分析をすることが手順の出発点になっているのですから、それができなければ検疫証明書も発行できないのではないでしょうか。
さあ、どうしましょう、清水さん。
つづく……
ブログ屋番頭
」
2010/08/14 at 07:06
あーちゃんママ :現実の世界で起こっていることはドラマよりスゴイですね!
ある日、何かが始まると必ずでてくるモンダイ。
こんなこと思ってみなければ気づかなかったのかもしれない。
容子さんとおーちゃん♪ラブアンドピースのカタチが、それを乗り越えようとしている!